先日患者さんに「味の素は体に悪いですか?」と質問されました。
この質問をされる人はだいたい「中華料理症候群」の話をしてきます。
これは1970年頃にアメリカで起こった「チャイニーズレストランで食事をした後に、頭痛・めまい・吐き気などを起こす人がたくさん出た」と言う事件のことです。
この時に槍玉にあげられたのが、中華料理で大量に使われたいた「グルタミン酸ナトリウム」いわゆる「味の素」です。
この事件があり「味の素は体に悪い」と言うレッテルが貼られてしまいました。
その他にも、以前味の素は石油から精製されていた過去もあるので(今はサトウキビです)昔の人は特に拒絶反応がある人も多いようです。
でもこの味の素は今でも普通に売られています。なぜか?
そこで今回は味の素の真実について解説していきます。
味の素とは?
「うま味」は基本5味のひとつです(甘味・塩味・苦味・辛味)。昆布、しいたけ、トマト、チーズなどに含まれる
アミノ酸「グルタミン酸」の味を指します。
1908年に東京帝国大学・池田菊苗博士は、昆布だしのおいしさの正体が、グルタミン酸であることを発見。その味を「うま味」と名付けました。その後、塩や砂糖と同じように使え、「うま味」をきかせることができるうま味調味料(グルタミン酸ナトリウム)を開発することに成功しました。
料理に基本味のひとつ「うま味」をきかせると同時に、素材の持ち味を引き出して、コクと深みを与え、全体の味を調和させる働きがあります。さらに「うま味」をきかせれば、お塩を減らしても、料理がおいしく仕上がるので、減塩することができます。 〜味の素HPより〜
味の素は体に悪いのか?
2グルタミン酸ナトリウムとは?
3致死量は?
中華料理店症候群
当時は大量のグルタミン酸ナトリウム(MSG)摂取が原因であろうと考えられため、「グルタミン酸ナトリウム症候群」という名称がつけられました。
しかし、現在ではさまざまな研究の結果により、1987年にアメリカのFAOやWHOで正式にグルタミン酸ナトリウムの摂取と中華料理店症候群の関係は否定されています。
つまり「グルタミン酸ナトリウム症候群」はグルタミン酸ナトリウムの摂取が原因とは言えないのです。
グルタミン酸ナトリウムとは?
一般的な食品成分表の表示は、「調味料(アミノ酸等)」と記載されています。「グルタミン酸ナトリウム」や「味の素」などの記載ではありません。
食事性のグルタミン酸は脳の血液脳関門を通過できません。そのため上記に挙げたような症状を引き起こすことはありません。ですが過剰摂取によって一部が血液中に流れ込み脳へ到達すると言われています。
そのため論文レベルではありませんが、グルタミン酸含有食品摂取後に多動が増えたりてんかんが起きたり興奮しりすることがある。との報告は多数存在するようです。
致死量は?
ビンに入った味の素の一振りで0.05グラムだそうです。ですから一般的に使っている分には摂りすぎることはあまり考えられないと思います。
ですがコンビニやスーパーで売られている商品の裏を見ると、必ずと言っていいほどこの「調味料(アミノ酸等)」の記載があります。そのため家で全く味の素を使っていなかったとしても毎日あなたの体に入っていることは間違いありません。
ですからなるべく「調味料(アミノ酸等)」の記載のある商品は食べないようにしたほうがいいと思います。やはりこれも個人差があり少量でも頭痛などの症状が出ることはあるようですので。。
結局「味の素」は体に悪い?
またこのグルタミン酸ナトリウムは糖や塩などのように味覚から過剰摂取を感知できないそうです。つまり食べている本人は食べ過ぎに気づけないのです。ですから作り手がこれらのことを理解して旨味を出そうとして大量に入れるようなことを避けることこそが一番大切だと思います。